学力の向上を通じた「人間力」の向上こそ、当塾が考える、これからの子どもたちに身に着けて欲しい力だと言えます。「人間力」というものは、大人の社会生活を念頭に置くことで「生きる力」をより広く、しかも、より具体的なテーマや目標が見えてくるようにした概念です。

経済協力開発機構(OECD)は、キー・コンピテンシーという社会で生活するために必要な基本的能力を提案し、新しい国際学力調査としてPISAを開発したことはよく知られるところです。学力について、「どのような問題解決を現に成し遂げるか」を問う概念、すなわち、今日(こんにち)でいう資質・能力として、コンピテンスは誕生しました。

つまり、資質・能力を基盤とした教育において各教科を指導するとは、その各教科等ならではの「見方・考え方」に照らして、その子の資質・能力がよりよく顕在化・拡充・洗練するよう支援することだと再定義でき、「人間力」を高める上では、これらが重要だと考えています。

2017年と2018年の学習指導要領改訂では、全教科・領域に「主体的・対話的な深い学び」を志向して、「学習指導要領の構造改革」が図られました。それは、「何ができるようになるか」を合言葉に、汎用性のある能力を育むことを目指して教科の改廃も含めて内容・方法を変革するものだと言えます。

前述のキー・コンピテンス論を基盤としますが、コンピテンシーとコンピテンスは、用語として基本的に同義と見なして特に差し支えないものです。

本格的にコンピテンシー育成を図るためには、近未来における「社会人基礎力」や、必要とされる能力や人間像を分析し、その課題から下ろしてきて、指導内容との折り合いをつける手順が必要ですが、これらを意識した取り組みを行っています。

各教科の内容に即して、コンピテンシー化をすすめ、当然ながら、指導者側が絶えず資質向上を図る努力をする必要もあり、注力しています。

また、表面的なコンピテンシー教育は、生徒たちを軽薄な現実対応に走らせ、知的・人格的成熟を妨げることになりかねないため、むしろ各教科の指導内容に即して、過度にコンピテンシー化しないジェネリックスキル(コミュニケーションスキルや数量的スキル、問題解決能力等の汎用的スキル)の教育を深めることが大切だと考えています。

いずれにしても、知識習得型・定着型の授業と、個別指導の長所を生かしたアクティブラーニングとが適度に組み合わされて、人間・社会・自然現象についてその意味を問うことのできる、深い洞察力がつくような実践を心掛けています。

また、現代では男女共学をはじめとして、ジェンダーを問わない教育が主流ですが、時代遅れの誤ったジェンダーの固定観念ではなく、性差により生来の学び方の違いが存在することは客観的な事実であり、指導にあたっては、それらを理解することが大切だと考えています。

一方で、日本では入学試験に合格するという達成目標が子どもの行動を強く規定することが指摘されており、また、入試改革によって教育内容が変わることも指摘されています。

大学入試制度において、近年入試が多様化していますが、その中でもとりわけ、センター試験から共通テストへの移行においては、その内容について大きな変化が見られました。

共通テストの内容に関しては、Society5.0の実現にふさわしい、目指すべき姿であると言えるものの、現状においてはやや理想が高いことも否めません。

そのような中、前述した各教科における適度なコンピテンシー教育と深い洞察力がつくような教育実践に加え、入試制度とそれに伴う具体的な出題内容からのアプローチが求められ、当塾では限られた時間の中で、できる限り質が高く効果的な指導を心掛けています。